考えるべき糖尿病患者のバリアフリー

食生活の欧米化にグルメ志向が加わり、近年、全国に糖尿病患者が増え続けています。

糖尿病とは血糖値が高くなることでおこる病気で、さまざまな深刻な合併症を引き起こします。

なかでも特に問題となるのが、糖尿病による網膜症です。血糖の増殖により血流障害が起こるのが原因で、進行すれば失明にまで至ります。

そのため早め早めのケアが大切なのですが、それでも年間3000名ほどが新たに失明者の仲間入りをします。しかも高齢になってからのことが多く、日常生活の厳しさはもちろん、その絶望感たるや想像を絶することでしょう。

また、失明にまでは至らずとも、日常生活の自立が制限されてしまうかたも多くいます。しかもそのほとんどが働き盛りの40代から50代にかけてのかたです。社会の第一線にいる立場の人にとって、今までできていたことができなくなるのは、一言では言い表せない激しい感情のひずみを伴います。

健常であった時間が長ければ長いほど、障害を持った自分の現実はなかなか受け入れられません。それでもなんとかしてその現実と折り合いをつけて生きていく過程では、乗り越えるべきハードルとともに、心安らぐ癒しのオアシスも必要でしょう。

旅はそのひとつです。従来型のバリアフリーの旅のようにハード面だけではなく、ソフトの面からもとらえたサービスを提供する旅を嬉野温泉から発信する、そうすれば今まで以上に多くのかたに温泉旅行を楽しんでいただけるのではないでしょうか。

たとえば、困っていたら手助けするのはもちろん、お手伝いできるかどうか、あるいはした方がいいのかどうかをたずねる言葉をまずは掛けてみる。障害を持ったかたへの心のバリアーを取り去ることこそがソフトのバリアフリー化への第一歩だからです。

障害の有無に関係なく誰もが気軽に声を掛け合い、お互いさまの気持ちを共有し合う、そんな心がけだけで旅はもっとぐっと身近になり、糖尿病で中途失明したかたにとって光となるかもしれません。

また、糖質を抑えた食事でもてなしたり食後のウォーキングを兼ねた散策路を提案するなどすれば、初期糖尿病患者にも楽しんでもらえることでしょう。

他にも点字ブロックだけではなく、音声を使った温泉の説明などいろいろ考えられます。こうしたさまざまなプランが提案できる人材の育成も必要ですね。

もはや現代病ともいえる糖尿病。軽度のかたから重度のかたまで多くの患者のかたに楽しんでいただける旅を提供できるようになれば素晴らしいと思います。

Recommended Reading